top of page

個人山行   北アルプス

春山一人旅

2017年4月28日~5月4日 投稿:マッチョ

 春の連休にガイド付き白馬と穂高のバリエーションルートを計画したが、諸事情で中止になったため一人で北アルプスに行った。今年の北アルプスは雪が多く残り、またゴールデンウイーク中の天候も不安定で、雷雨や吹雪の後に晴天が繰り返され、私が北アルプスにいる間にも雪崩で多くの方が遭難された。

  今回、私も登山届は県警に出したが、一人歩きだと遭難したことさえ誰も知らないことになるので、遭難しないように気候が安定していて雪がしまっている早朝に出発し、山小屋に早く着くように心がけた。自然の中で遊ぶのは楽しいが危険はいっぱいでドキドキの旅だった。

Please reload

4月28日(金)

仕事が終わってから新幹線に飛び乗り、小倉のビジネスホテル泊。

Please reload

4月29日(土)

【小倉7:00-名古屋-松本-新島々-上高地4:30】

新島々まで天気が良かったのに、釜トンネルを超えたら黒い

雲に覆われて上高地はミゾレ混じりの雷雨と突風で観光客は

大わらわ。山は吹雪だろう。

Please reload

(蝶槍から常念岳 )

4月30日(日):晴れ
【上高地3:30-明神白沢出合い4:15-徳本小屋6:39-ジャンクションピーク7:37-K1ピーク9:43-K2ピーク10:11-霞沢岳着10:28発10:50-常念岳山頂 K1ピーク11:35-ジャンクションピーク13:37-徳本小屋14:15】

Please reload

 霞沢岳は大正池を挟んで焼岳の東に位置している。北アルプスでは槍・穂高の存在が大きすぎて影が薄いが、2646mで険しい峰も持つ。日本二百名山の一つだが、登山者が少ないので穂高連峰の展望を静かに満喫できる山で、以前から一度登ってみたいと思っていた。

 徳本小屋からの情報で「徳本峠から霞沢岳へのトレースが無いかもしれない。」と聞いて、道迷いや雪崩に遭遇した時を想定して夜明け前に上高地西糸屋を出た。明神白沢出合いから30分で雪道になりアイゼン装着。黒沢に入ると左右の小沢から落ちてくるブロック雪でデコボコして歩きにくいが、早朝なので雪が凍っていてアイゼンがきく。

 黒沢をつめていき、途中から右の雪道へ入ると徳本小屋に到着。

 荷物をデポさせてもらうと「2パーティが霞沢岳に向かったらしい。展望台からジャンクションピークへ行ける。」とのこと。ジャンクションピークへの登りは樹林帯のうす暗い急坂で、登る人が少ないので踏み固まっていない昨夜の新雪に足を取られ、雪に隠れた木の根につまずき、道のない急登に汗だくで、泣きそうになったが、先行者の右往左往している足跡でもトレースがあるので助かった。

 ジャンクションピークを超えると湿地帯に向かって下り、再び急坂を上るとK1ピークが見えてくる。K1ピークの登りは恐るべき急騰、ほとんど雪壁。先行のパーティ1組はこの壁を見て撤退して行った。しかも、取りつくと雪がゆるくて踏みしめられず足が滑って登れない、雪を踏み抜きハイ松にアイゼンがはまって足が抜けない、ピッケルのスピッツェは固定されずにふかふかの雪に入り込む、深雪の雪壁を泳いでいるような感じ。

Please reload

(常念岳山頂 ※拡大クリック)

(常念岳から東大天井 ※拡大クリック)

(常念岳から槍ヶ岳 ※拡大クリック)

 トレースが無ければ私もあきらめるとこだったが、霞沢岳から帰ってきた先行のもう1組のパーティのイケメンが「おばさん頑張れ!」と励ましてくれたのでなんとかK1ピークへ登り切った。

 K1ピークでは驚いたことに、六百山からK1ピークに向かって道なき岩稜を2パーティが登って来る。一瞬、岩稜を登る人の姿は目の錯覚か?と思ったが、ちゃんとルートがあるらしい。カッパ橋のトイレ脇から六百山経由で霞沢岳に登るバリエーションルートらしく、ノーマルルートをヤットコサ登ってきた者から見ると超カッコいい。

Please reload

 K1ピークからの尾根は突風で山頂までの往復のアップダウンを這いつくばって進み、K1ピークの下りは、後ろ向きにアイゼンのキックステップと左手のピッケルのピックを雪壁に突き立てて、右手を雪面に突っ込んで3点確保で一歩一歩下った。ここは滑落の多い場所、クワバラクワバラ。

 徳本小屋は開店準備中で「水タンクの水道管が破裂した」とか、「水が無くて飯が炊けないかも?」とか、「食器が洗えない」とか、「トイレットペーパーがない」とか、バタバタしていたので、今季宿泊第1号の私は静かに早寝した。

Please reload

(常念岳から穂高岳 ※拡大クリック)

5月1日(月):雷雨吹雪

【徳本小屋2:00-明神白沢出合い-徳沢4:26-長壁山9:37-蝶ヶ岳10:15-蝶ヶ岳ヒュッテ】

 徳本小屋から中村新道を歩いて大滝山経由で蝶ヶ岳に向かう予定だったが、中村新道もトレースない由。前日の体験から、登山者が少ないため踏み固まっていない雪道の厳しさが頭をよぎり、さらに悪天候予報にビビッて中村新道をあきらめた。一度、徳本峠から明神白沢出合いに降りて徳沢から長壁山経由で蝶ヶ岳に登り返した。明神から徳沢の道は夜道でも迷うことなくジャンジャン歩けるし、徳沢から長壁山経由の蝶ヶ岳への雪道はメジャーなので踏みしめられ、歩きやすくてルンルンだ。中村新道をあきらめて正解だったかも…逃げるは恥だが役に立つ?? 天気も予報どおり下りで、7時頃から雨と雷。長壁山あたりから吹雪。蝶ヶ岳周辺は突風と吹雪で前が見えず、方向を失って怖い目にあった。GPSが心強い。

Please reload

5月2日(火):晴天
【蝶ヶ岳ヒュッテ3:30-蝶槍4:30-常念岳7:40着8:10発-2625m分岐-横尾山荘12:40】

Please reload

 昨日の悪天から天気が良くなって、雪崩れることが心配で早出した。
 トレースも固まっていて完璧。天気も良く、風も穏やか、常念岳山頂の360度の大パノラマもサイコ―!! しかし、常念岳の南面の巨岩の登り下りは、雪と岩のガレ場が交互にあるのでアイゼンをつけていると歩きづらく、標高差400mもすさまじかった。
 また、蝶槍までのアップダウンは日差しで雪が緩んできて、雪に足がはまってコケまくった。横尾への分岐からは、風呂とビールが恋しくて駆けるように下った。

Please reload

(富士山と南アルプス ※拡大クリック)

 横尾山荘は部屋もトイレもきれいで、風呂に入れるし飯はうまいし従業員も親切で極楽ゴクラク。同室のおばちゃんが奥穂のあずき沢や北穂の南尾根あたりの雪崩で遭難者が出たと話していた。1日の吹雪の後に2日の晴天だもの…遭難者の無事を祈るばかりだ。

Please reload

(蝶ヶ岳と蝶槍 ※拡大クリック)

5月3日(水):曇り

【横尾-上高地-乗鞍高原センター(温泉に入る)-位ヶ原山荘】

 乗鞍に登りたくて上高地からバスで移動した。月曜日に徳本小屋にスパッツを忘れたので、早朝に横尾を出て明神白沢出合いから徳本小屋までスパッツを取に往復したので、乗鞍高原センター湯けむり館の温泉と地ビールは身体にしみた(幸せ!)。5月は雪が多くて、まだ位ヶ原山荘までしか除雪できていないのでバスはここまで。畳平らまではバスは入れません。

Please reload

 位ヶ原山荘の夕食は獅子鍋。泊まり客はほとんどスキーヤー。板を担いで登っては好きなところを滑ってくる。4日の朝は大型バス6台でスキーヤーが押し寄せてきたが、後日談で、この日骨折して遭難した人が救助されたらしい。

Please reload

(御岳山と乗鞍岳 ※拡大クリック)

5月4日(木):晴れ

【位ヶ原山荘4:00-摩利支天6:05-肩の小屋-剣ヶ峰6:55-蚕玉岳・朝日岳-位ヶ原山荘着8:10 9:20-乗鞍高原センター-松本】

Please reload

 乗鞍岳という名前の山頂はないそうで、主峰の剣ヶ峰を筆頭に23の峰が集まり1つの山として乗鞍岳と呼ばれる。大日岳、朝日岳、大黒岳、恵比須岳、魔王岳、摩利支天、高天原などの峰を持つ霊山だ。位ヶ原山荘から積雪期には登山道はなく、登山者もスキーヤーも各々の道を登っていく。木もないので山々を見渡せる。帰りのバスの始発に間に合うように、夜明け前に出発して暗闇の中をガンガン雪坂を登って到着したところが、摩利支天だった。摩利支天の宇宙船観測所を横目で見ながら肩の小屋に降りて、剣ヶ峰・蚕玉岳・朝日岳を登り位ヶ原へ戻った。

Please reload

(位ヶ原から乗鞍岳 ※拡大クリック)

 これで北アルプス春山一人旅は終わり。登山者の少ない山に登ってドキドキしたり、あわてて出発してスパッツを忘れたり、スパッツを取に戻る時間を作るため夜中に横尾を出たり、吹雪いて道が分からなくなったり、珍道中だったが、お一人様もいい経験になった。

 

Please reload

bottom of page