個人山行 常念岳~燕岳 春山一人旅
2019年5月2~4日 報告・画像:松山
一昨年の五月に、上高地から霞沢岳と蝶ヶ岳・常念岳まで歩いてみたので、今年はその続きをしてみた。昨年のゴールデンウイークはガイド付きの前穂登頂に参加したが、低気圧通過による雷雨に深夜の大雪の悪天候で、涸沢までで撤退という苦い思いをしたので、今年はブラブラ呑気な一人旅にした。
最初の予定では、4月30日に松本まで飛行機で飛んで穂高温泉郷常念坊泊から中房温泉登山口-燕岳-大天井-常念-蝶ヶ岳-大滝山-徳本峠-上高地を計画していたが、日本海に低気圧が2つも3つもあって寒気も入って大荒れ。5月1日までは悪天候、しかも徳本峠小屋が雪のため閉鎖中と判明したので急遽変更を余儀なくされた。
今年は「令和」のお祝いで信州の旅行客が少ないのか宿泊先が押さえられたので、安曇野に待機して5月2日から三俣-前常念-常念-大天井-燕岳-中房温泉登山口に変更してスタートした。
(ルート図)
5月2日:豊科5:00(タクシー)-三股駐車場着5:26発5:40-登山ポスト5:50-蝶ヶ岳・常念登山口分岐5:52-2207m8:34-前常念非難小屋10:55-前常念岳11:03-常念岳分岐12:00-常念岳12:11-常念小屋泊13:25
豊科から三俣のゲートまでタクシーで5900円。ショボショボと雨が降るが、駐車場はほぼ満杯。ゲートから10分ほど歩くと林道終点で登山届小屋がある。そこから2分くらいで蝶ヶ岳への道が分岐。右に前常念への道を行くが、誰もいない。こちらはずーっと急登なので下山に使う方が多いのかも…1時間ほどで雪道になったが、ザラメ雪だったので前常念への尾根の急右雪渓からアイゼンに変えた。が、すぐに尾根の左側の雪のない夏道になったり、凍った岩場になったりでアイゼンでは歩きにくい。
(写真:三俣駐車場)
前常念の避難小屋からは前常念・常念岳までの雪質はしまっていてアイゼンがよく効いて心地よく、踏み抜きもなく歩きやすい。空も晴れてきて抜群。
(前常念避難小屋)
(前常念から常念)
前日までの常念岳は寒気と強風でマイナス10度以下の風雪。今朝はマイナス3度で気温は上がるはずだが、西高東低で風速14mくらいの突風。ピッケルの三点姿勢で強風に耐える。雲の流れも速い。
しかし、高気圧が張り出してきているので垂れ込めていた雲が切れていき、どんどん眺望がよくなっていく。蝶槍・穂高・槍・薬師・これから歩く大天井・燕岳。遠くには八ヶ岳・南アルプス・御嶽山・乗鞍・立山・鹿島槍・白馬。
お疲れ様です。おぉ~大パノラマ!! 本日は、雪に埋もれた常念小屋に宿泊。
(常念岳)
(常念小屋)
5月3日: 常念小屋5:55-横通岳6:55-分岐7:55デポ-東大天井8:05-分岐8:10-
大天荘9:05-大天井岳9:26-喜作レリーフ・切通岩鎖場10:10-2699m10:50-
為右衛門吊岩-大下りの頭12:00-蛙岩12:33-燕山荘13:05
常念小屋の朝食は5時。5時には夜が明けているので食べたらすぐに出発の予定が、風速16mくらいの西からの強風で歩けず、小屋で待機。昼前には風もおさまるはずだし、横通岳下方は林が風を受けるし待ちきれず、6時前に風の中を出発してみた。横通岳・東大天井と登ってみるが突風で立っていられないので先を急ぐ。大天荘は冬季閉鎖。でも、冬季用(非難)小屋があって使用する登山者は多いようだ。また、トラバースルートは立ち入り禁止になっていて、必ず大天井岳山頂を通過するよう看板があった。
(写真:大天荘)
大天井岳から喜作レリーフまでの下りが核心部。「傾斜45度くらいに見える雪の急下り」と聞いていたが実際には「雪が少なく落石の危険が大きい急下り」。しかも、下からドンドン登って来る。ひたすら、自分の滑落よりも「アイゼンで石を蹴らないよう。ピッケルで石を落とさないよう。」神経をすり減らして下った。
(大天井岳)
(切通岩から大天井)
風も弱まり、大下りの頭まで来ると燕岳と燕山荘が晴天の中、間近に見えてくる。蛙岩の穴をくぐり、雪とザレの尾根をアップダウンして登山客で混雑する燕山荘に到着。
(写真:蛙岩)
(蛙岩の穴通過)
(燕岳)
5月4日: 燕山荘(食事4:50)5:00-燕岳5:35-燕山荘6:00-合戦沢の頭6:30-合戦小屋6:37-富士見ベンチ6:50-第三ベンチ7:04-第二ベンチ7:21-第一ベンチ7:43-中房温泉燕岳登山口8:09-乗合バス-穂高駅
天気が良くなって、燕山荘は中房温泉から上がってくる登山者で大賑わい。4人で3枚の布団。それでも熟睡しました。朝日を拝んで、ご飯の後に燕岳に出発。雪は少ないですが、凍っているのでアイゼンで歩きました。イルカ岩やメガネ岩(左目に大天井、右目に前穂が見えています。)をみながら山頂へ。朝日の中の360度のパノラマ。すごいっ!。
(イルカ岩)
(メガネ岩)
北燕岳には行かず、小屋に戻って、荷物を回収して合戦尾根を下る。雪道が続くので第一ベンチまでアイゼン使用。中房温泉燕岳登山口に待っていた8時半発の乗合バスで穂高駅に戻り、「北アルプスの春山、呑気な一人旅」は終わり。また、来年です。
(写真:合戦尾根)