夏山山行:会津駒ケ岳(2133㍍)中門岳(2060㍍)(福島県)
2019年7月27~8月3日 報告・画像:ベラ
7月27日、梅雨明け宣言がまだ出されていない東北・福島県へ向け夏山山行を開始する。檜枝岐村に座する会津駒ケ岳(+中門岳)が今年の目標だ。
いつものように、自家用車で出発。新門司港からオーシャン東九フェリーに乗り、徳島を経由、東京港へ7月29日の朝5時到着。東京都心を抜け東北自動車道をひた走り、11時頃、檜枝岐村入り。登山口(滝沢登山口)を確認した後、登山口にほど近い民宿のお世話になる。
翌30日、滝沢登山口に5時前到着。十数台分くらいのスペースに余裕で駐車。下見での混雑ぶりが気になっていたのでひと安心する。
ガスストーブや水、食料など、普段は持ち歩かない調理用の荷物を詰めたザックを背負い、5時を少し回ったところで登山開始。急な階段登りから、一歩一歩、踏みしめて行く。
(写真:滝沢登山口スタート)
東北で、しかも標高1000㍍超からのスタート。なのに、暑い。檜枝岐村の民宿にはエアコンがなく(新築だと設置するようになったと聞く)、ブナ林の隙間から届く木漏れ日にでさえ、熱量を覚える。
むき出しの木の根に苦心しながら、やや急な上りを黙々と歩く。滝のような汗が止まらず、眼鏡が曇る。
水場から約30分、木枠に石を詰め込んだ幅の広い階段状の山道が現れる。平らな丸石ゆえに滑る印象だ。
慎重に進むこと約1時間、オオシラビソの樹林帯を抜けると、水と緑の美しい湿原が迎えてくれる。視線の先には駒の小屋(標高2055㍍)。まだ小さな姿でも嬉しくなる。
(写真:小さく見える駒の小屋)
この湿原は、駒の小屋、会津駒ケ岳、中門岳へと広がり、一帯が木道歩きとなる。
前日の雨と朝露で木道は滑り、木が細かく砕けたり、固定されているように見えてもそうでなかったり。木道歩きにコツはあるのかと(予想もしないところで滑りセーフ)、一歩一歩がもどかしい。
木道歩き開始からほどなくして、展望ベンチ到着。会津駒ケ岳山頂と初対面するも、風が強く、休むと汗をかいた体が冷えてしまうので、止まらず先へ進む。
(写真:駒ノ池と会津駒ヶ岳)
約30分で駒の小屋到着。時間は9時過ぎ。登山口から小屋まで4時間弱を要したことになる(標準タイムは3時間から3時間半)。
小屋で30分ほど休み、調理用具等をデポして9時半頃、会津駒ケ岳山頂、中門岳へ向かう。
まずは、会津駒ケ岳山頂へ、傾斜のきつい木道を上り10時過ぎ着。眺望は樹木と霞で臨めないため、長居せず中門岳へ。真新しい木道に足取りも多少(?)軽く、地塘を眺め、雪渓を渡り、中門池へは11時頃到着する。池の標識には中門岳とあり、()書きで(この一帯を中門岳と云う)が表記されていた。
(写真:会津駒ヶ岳山頂~冬場が眺望抜群なのだそう)
(雪渓を渡る)
(可憐なハクサンコザクラ)
お茶で一服した後、更に北へと延びる木道を進んで行くと、中門池から5分程で広い平地に辿り着く。平地には、立派な木製デッキとベンチが設えられ、360度、パノラマの景色が楽しめる。
南方に燧ヶ岳、至仏山、日光白根山、女峰山、男体山、平ケ岳、富士山等、北方に那須岳、磐梯山、安達太良山等々日本の名山 とのご対面となるはずも、雲と霞で叶わず。ただ会津駒ケ岳はクリアに、その山頂を見せてくれたので、十分有難かった。
(写真:新しい木道)
会津駒ケ岳の山頂を正面に見ながら、泊地、駒の小屋へと木道を戻る。地塘に映る景色はまさに鏡。朝の風が嘘のように止んで、穏やかな山歩きを楽しむ。
駒の小屋へは、12時半着。会津駒ケ岳山頂を臨む小屋前のベンチで、群がるトンボ、ひらりやって来るアサギマダラと戯れ、飽くことなく鳴き続けるウグイスの声を聞きながら、夕食までの時間をのんびり過ごす。
(写真:地糖に映る景色)
自家発電設備のない小屋に、ランプの灯がともる。雨が降り、外はガスに覆われている。夕食を軽く済ませ、20時消灯。一人一枚の贅沢な布団に潜り込み、小屋のご主人がランプを消す姿をぼんやり見たような…眠りは速攻訪れた。
31日、3時半。キリンテ登山口に下りる人、ご来光を見に行く人等々で、小屋はざわつき始める。外は、相変わらずガスに覆われている。
ご来光を諦めた人たちの声が小屋に響く。「星がきれいだったね…」。消灯から午前0時頃まで、空には星が輝き、流星も多かった、と。なんと、ガスは晴れていた。10年越しの憧れ、夏山天体観測を今年も逃したことになる。
同部屋の登山者と、あれこれ話が盛り上がり、朝の出立が約1時間遅れ、7時前、小屋を後にする。
(写真:小屋を出発)
朝もやに包まれた湿原は幻想的だ。ゆっくり歩いていると、一番目の登山者に出会う。驚くほど元気だ。お互い気を付けましょうと声を掛け進む。木道を慎重に歩くも、約1時間で水場に着く。時間を前後して小屋を出た登山者が再び集う。また、どこかで会いましょうと別れを告げて、下山再開。汗だくで上って来る人に道を譲りながら、ゆっくり下る。
(写真:朝もやに包まれた湿原)
9時20分、滝沢登山口到着。下りはほぼ標準タイム。掛かった時間ばかり気になるが、安全安心が一番。怪我なく楽しめたことに感謝。山の神様に挨拶をして駐車場へ向かっていると、背後で声がする。下山開始早々に出会った登山者だ。これから平ケ岳、巻機山を登り、山口県へ帰るとのこと。いやはや、私にその体力、気力を分けてくれないものかと思う。
10時、檜枝岐村の温泉、燧の湯で汗を流し、知り合いのいる宇都宮へ向かい一泊、8月1日、宇都宮から東京港へ、19時30分発オーシャン東九フェリーに乗船。8月3日、5時20分新門司港到着。高速を利用して10時前には自宅へ無事の帰宅を果たす。
福島へ、一座のために費やした、7泊8日の長い夏山山行が幕を閉じた。
さあ、次はどこへ行こう。
【備考】
単独行(50代:女性)
サポート(80代:男性)
【追伸】
①山小屋のご主人の話では、木道はメンテナンス中とのこと。会津駒ヶ岳周辺(中門岳辺りまで)の木道は確かに新しかった。滑りにくくするための工夫だろうか、木道をある一定の間隔で区切るように、細い枕木のようなものが付けられていた。
②檜枝岐村の民宿では、ハクサンサンショウウオの天ぷらをいただいた。女将に笑顔で進められれば断れず…鹿児島名物キビナゴのような味、かなぁ。